Neutrino physics
 

ニュートリノは物質とほとんど反応しない不思議な粒子ですが、宇宙創成の謎を解く鍵を握っていると言われる粒子です。また、太陽での核融合、地球内部での核分裂などで必ず発生し、我々の体を常に通り抜けている"身近"な素粒子でもあります。このニュートリノに微かな幽かな質量があることが日本の実験で明らかになりました。同時に、3種類のニュートリノは飛行中にその姿を常に変え続ける "ニュートリノ振動(混合)"と呼ばれる現象を起こしていることもわかりました。当研究室では、日本の素粒子物理のお家芸ともいえるニュートリノ振動実験を遂行し、始まったばかりの"レプトンセクターでの混合行列の解明とCP対称性の破れの発見"の研究に挑戦したいと思います。

   
  Double Chooz 実験
 

原子力発電所からは大量のニュートリノが発生しています。これを用いてニュートリノの研究をするのが原子炉ニュートリノ振動実験です。3種類のニュートリノの間には3通りの振動が有り得ますが、そのうち2通りは振幅の大きな振動なので既に発見されています。ところが3番目の振動だけは何故かその振幅(=混合確率。θ13という振動角で表します)がとても小さく、未だに発見されていません。この、"最後の振動"を発見するのが世界中のニュートリノ研究者の大目標になっています。θ13がゼロだと、ニュートリノのCP対称性の破れも原理的に検出できないことがわかっているからです。Double Chooz実験はフランスのアルデンヌ地方(ベルギーとの国境近く)にあるChooz(ショー)原子力発電所を用いてθ13を発見しようとする実験で、2009年に測定器建設、2010年に実験開始の予定です。日本からは東工大の他、東北大、新潟大、首都大学東京、神戸大等が参加し、実験に向けての準備に着手しています。詳細 はDouble Chooz実験のページ、およびDouble Chooz 日本グループのページ へ。

   
  KASKA実験
 

Double Chooz実験の先に、日本での新しい原子炉ニュートリノ実験として我々はKASKAという実験を計画しています。KASKA実験は、世界最大の出力を誇る柏崎刈羽原子力発電所からの反電子ニュートリノを線源とすることで、より高感度でθ13を測定し、さらに発電所から離れた場所にも検出器を置くことで他のニュートリノ振動パラメータも測定しようとする、次世代の原子炉ニュートリノ振動実験です。詳細はKASKA実験のページへ。

   
  久世研究室での研究内容
 

KASKA実験では、数年前からプロトタイプ検出器を製作して本実験用検出器の開発のための研究を行ってきました。2006年12月から茨城県大洗町にある高速実験炉"常陽"の敷地内にプロトタイプ検出器を設置し、高速炉からのニュートリノ初検出を目指しています。

主に常陽測定の解析で使用するため、Geant4(素粒子実験シミュレータ開発用C++クラスライブラリ)を用いたプロトタイプ検出器のモンテカルロシミュレータの開発を行っています(卒業研究)。
原子炉ニュートリノ振動実験では宇宙線バックグラウンドをいかに排除するかが重要です。久世研究室ではその宇宙線事象を排除する測定器システムの開発を行っています。
素粒子実験では高性能な光検出器が欠かせません。MPPCは光子一つ一つを見分けることが可能な次世代の光検出器です。このMPPCの放射線(ガンマ線)耐性試験を行いました。
原子炉ニュートリノ振動実験では、振動角の測定精度を向上させるために高精度の検出装置をつくる必要があります。久世研究室では検出器の校正(キャリブレーション)を高い精度で行うためのシステムの開発を行っています。現在はモータをマイコンで制御して動作させるロボットアームタイプのシステムを開発しています。